いまや暮らしに必須のインターネットですが、その種類がたくさんあってどれにしたらいいかお悩みの方も多いと思います。
・ネットの種類が多すぎる
・コラボ光ってなに?
・ホームルーターって?
・電力系ネットって?
今回はこんな疑問を持っている方のために、それぞれの回線がどういうものなのかを図解で説明しています。
実際に私がキャリアショップ(代理店の方)に対して行っていた研修内容を軸に説明をしていきますので、これからネット業界でお仕事を始められる方などもぜひ参考にしてください。
ネット回線の種類
インターネットといっても実は画像のように細かく分類がされており、それぞれに特徴があります。
ADSLサービスは現在は提供終了となっているので実際は
・光回線
・ケーブルテレビ
・モバイル回線
の3つになりますが、この中でも近年でインターネットを使っている人の大半は光回線を使用しています。
光回線とは?
光ファイバーと呼ばれる光学繊維の中を光データに変換したデータを送りこむことで通信するインターネット回線を光回線と呼び、現在ではシェアのほとんどを占めている通信方式になります。
従来の電気信号とくらべて、光を使うということで超高速かつ安定した通信が可能になります。
光と電気の伝導速度は同じですが、違いは情報の変換速度にあります。電気信号でのインターネットは電気の変調(オンオフ)で情報を変換することに対して、光通信は光の点滅を使用して情報を変換するため光の速度をそのまま伝えることができるのです。
光回線はNTTしかないの?
光回線というとNTTをイメージする方が多いと思いますが、光ファイバーケーブルは設置するために多額の費用を要するので、事実として日本中の全地域に光ファイバーケーブルを設置所有しているのは東西のNTTのみとなっています。
しかし、各地方の電力会社は自社エリアに独自の光ファイバーを設置したり、KDDIもかつて東京電力が設置した回線を自社回線として所有しています。
光ファイバーを独自で所有している事業社は東西NTT・KDDI・各地域の電力会社となりますが、この中でもNTT系光回線が全国シェアの大部分を獲得しています。
ライトファイバーとダークファイバー
光ファイバーの設置には多くの費用と工数を要するため、東西のNTTは当時想定していた使用規模の数倍のファイバーケーブルを日本中に埋め込みました。
そのため、半数以上のケーブルは使用されず予備回線として保管されていました。
このような予備回線を「ダークファイバー」と呼び、フレッツ光として常時使用されている回線を「ライトファイバー」と呼びます。
近年はこのダークファイバー回線を他業者に貸し出すことで、光ファイバーを持たなかった企業が光通信を提供することができるようになっています。
自社回線をもたなったSONYはこのダークファイバー回線を使ってNURO光を展開し、KDDIは自社回線でカバーできていない地域をダークファイバー回線で代用しています。
フレッツ光
フレッツ光はNTTが自社のライトファイバー回線を使って運用するネットサービスで、日本中ほぼ全てのエリアをカバーしています。
フレッツ光の特徴
フレッツ光ではNTTからは光ファイバーの使用契約が必要となり、それと別にインターネットサービスを提供するプロバイダとの契約も必要となります。
プロバイダはISP(Internet Service Provider)とも呼ばれ、インターネットにつなげてくれる会社のことを指します。代表的なものだとOCN・BIGLOBE・niftyなどが挙げられます。
近年では後述するコラボ光などにシェアが移りつつありますが、コールセンターでのアフターフォロー体制は手厚く、長年のキャリアを活かしたサービス管理はさすがと言えます。
- ほぼ日本全国をカバーするエリアの広さ
- 安定かつ高速な回線
- 他にはない手厚いサービス
- 別途プロバイダ契約が必要
コラボ光
NTTが所有するライトファイバー回線の一部分は、2015年2月より各種プロバイダーや携帯キャリアに向けて卸売が始まっており、光ファイバーを持たなかったこれらの事業者が提供するネットサービスをコラボ光と呼びます。
従来は光回線というとNTTが管轄をするフレッツ光のイメージが大きかったですが、現在はコラボ光のシェアは年々増加しており、2025年時点ではフレッツ光を含めた光回線サービスのうち71.3%の方がコラボ光を利用しています。
コラボ光の特徴
コラボ光は回線契約とプロバイダ契約が一本化したもので、利用者はフレッツ光のように二つの別々の契約(回線契約とプロバイダ契約)を結ぶ必要がありません。
多くのコラボ光事業者では、あらかじめ決められたプロバイダが契約に含まれています。しかしドコモ光のようにいくつかの中から選択ができるものもあり、その場合でも契約の中に含まれるので別途契約を結ぶ必要はありません。
ひかりコラボでは参入している様々な事業者が同じ回線を利用しているので、地域によっては通信がやや不安定になる場合もありますが、極端に品質が低下するというほどではありあません。
携帯キャリアが提供しているコラボ光ではスマホとのセット割を行っていることが多く、うまく選ぶことで通信費を大きく節約することもできます。
- プロバイダ契約が不要なものが多い
- 基本的には高速かつ安定
- 事業者によってはスマホとのセット割あり
- 地域によってはやや不安定になる場合も
コラボ光の提供事業者
コラボ光を提供している会社は
・ドコモ光
・ソフトバンク
・ビッグローブ光
・楽天ひかり
・ぷらら光
・OCN光
・GMOとくとくBB光
・DTI 光
・So-net光
・IIJmioひかり
・エキサイト光
・enひかり
・AsahiNet光
・FitWebヒカリ
・TEPCOひかり
・カテエネ光
・ほくでん光(ハイスピード・スタンダードプラン)
などが挙げられますが、2025年時点で500社以上のコラボ事業者の登録があり、以下のページに事業社の一覧があります。
ダークファイバー回線
NTTが敷いた光回線のうち使っていなかった予備の回線をダークファイバーといい、自社で光ファイバーを持たなかったSONYはこのダークファイバー回線を使ってNURO光を展開しています。
その他にもKDDIは自社で光ファイバーを所有していますが、不足していた地域ではNTTのダークファイバーを使用しています。
ダークファイバーの特徴
ダークファイバー回線はこのニ社が地域を分けて利用しており、他社と回線が混合することがないので超高速が実現します。
- 速度が速い
- 本来使っていない回線を使用しているので安定して速い。
- NURO光はプロバイダ契約不要
- auひかりはプロバイダ契約が別途必要
- 工事費用がかかる可能性がある
- 一分利用ができない地域がある
ダークファイバーの提供事業者
ダークファイバー系回線を提供している会社は
・au光
・NURO光
・東北電力フロンティア光(10Gプラン)
などが挙げられます。
この中でも2023年に開始した東北フロンティア光は10Gプランに限りダークファイバー回線を利用しており、NURO光と同等の高速通信が可能になっています。
auひかりは利用エリアによって二つのプランがあり、「ホームタイプ」はKDDI所有の光ファイバーを使用しており、「ホーム(s)タイプ」の場合はNTTのダークファイバー回線を使用しています。(ヒカリク:auひかりホーム(s)とは?)
KDDI系光回線
auを運営するKDDIはかつて東京電力が設置した光ファイバーを事業統合によって所有しており、関東地域ではその光ファイバーを、その他の地域ではNTTのダークファイバー回線を借りて使用することでau光を展開しています。
au光はNTTのダークファイバーが通っている地域であれば利用できるかと言えばそうでもなく、関西・中部地域においては同グループが運営する電力系回線のeo光とコミファ光があるためau光自体が利用できない場合があります。
KDDI系光回線の特徴
auひかりには2種類の光ファイバー回線を使用しており、関東地域ではKDDIの自社回線を、その他の地域ではNTTのダークファイバー回線を使用しています。
どちらもコラボ光のように他社と共有した回線ではないので、安定して高品質な通信ができることが特徴です。
au光はプロバイダ契約が必要で、契約時に8社から選択することになり、ここで選択したプロバイダは後から変更することができません。
その他、auやUQモバイルとのセット割を受けることができます。
- 独自回線なので高速かつ安定した通信品質
- au、UQモバイルとのセット割がある
- 別途プロバイダ契約が必要で、後から変更ができない
- 関西、中部地方では利用できない場合がある
電力系光回線
光回線に使用する光ファイバーケーブルには、NTTが設置したものの他に、各地方の電力会社が独自で設置したものがあります。
電力系光回線の特徴
電力系回線のような独自回線はNTT系の光回線と比べると、利用者が少ないことから速度が出やすいことが特徴です。
多くの事業者では電気契約とのセット割を提供しているため、自宅の契約と合わせることでお得に利用することができます。
- 独自回線を利用しているため回線が混雑しにくく、速度が速い。
- 電力会社によって提供地域が限定されている
電力系光回線の提供事業者
電力系光回線を提供している会社は
・eo光(関西電力)
・コミファ光(中部電力)
・メガエッグ光(四国電力)
・Pikara光(中国電力)
・BBIQ光(九州電力)
などが挙げられますが、電力会社によって担当している地域がわかれているため、契約できる人が限られています。
そのほかの地域にも電力会社はありますが独自の光回線を所有しておらず、それぞれ
その他の地域の電力系光回線
その他の関東や北部地方の電力会社では独自の回線を所有していないため、NTT回線でのコラボ光や、NURO光と同様ダークファイバーを利用して光サービスを提供しています。
それぞれどのようなサービスを行っているのか簡単にご紹介します。
・北海道電力
北海道電力は2024年、北海道エリアを対象にほくでん光のサービスを開始しました。ハイスピードプランとスタンダードプランはNTT東日本のライトファイバーを利用したコラボ光で、スピードプランはNURO光と同様のダークファイバー回線で運用しています。
・東北電力
東北電力は2023年、東北エリアを対象に東北電力フロンティア光の提供を開始しました。スタンダードプランはNTT東日本のライトファイバーを利用したコラボ光、プレミアム10Gプランはダークファイバー回線で運用しています。
・東京電力
かつて東京電力が所有していた独自回線を2007年にKDDIに移管しましたが、合弁会社PinTが2018年に東西のNTTコラボ光としてTEPCOひかりのサービスを再開した
・北陸電力
NTT西日本のライトファイバーを利用したコラボ光としてFITWeb ヒカリを展開している。
ケーブルテレビ
ケーブルテレビ会社が運営するネット回線で、テレビ放送をするための同軸ケーブルを介してインターネットを利用できます。
ケーブルテレビの特徴
同軸ケーブルでの通信は光ファイバーと比べると速度が劣りますが、近年では光回線を使用した1Gbpsプランも展開しているので、すべてのゲーブルテレビ回線が遅いというわけではありません。
- テレビとセットになっている
- 光回線ではない既存回線の場合は速度が遅い
- 工事から利用開始が早い
ケーブルテレビの提供事業者
ケーブルテレビ系回線を提供している会社は
- J com
- Baycom
- 仙台CATV
などその他にも多くの事業者がが挙げられます。
ホームルーター
スマホのように基地局から電波を受け取って、WiFiの電波として飛ばす置き型WiFiのことをホームルーターといいます。
自宅のインターネットといえば光回線のイメージが強いすが、ホームルーターを利用される方も最近は増えてきました。
ホームルーターの特徴
ホームルーターは牛乳パックほどの機械をコンセントに刺すだけで使えることから、単身赴任の方や下宿中の学生など、一時的にインターネットを利用される方におすすめされます。
スマホと同様、面倒な手続きがなく即日利用できるほか、別の部屋に持っていくことも簡単にできる手軽さも特徴です。
ホームルーターを友人の家や、車内に持ち込んで利用される方もいらっしゃいます。しかし指定された基地局以外からの電波を受信すると契約違反で即利用停止になるので、自宅以外では決して利用しないようにして下さい。
また、光固定回線と違って接続コードが少なくスッキリとしているので、掃除もしやすくなります。
一方で、速度や安定面では光回線のような有線ネット回線と比べると大きく劣ってしまうため、手軽さを取るか品質をとるかという点で差別化されています。
- 工事が必要ない
- コンパクトなので掃除もラクラク
- WiFiを使うために無線LANルーターを用意しなくもいい
- スマホとのセット割がある
- プロバイダ契約は不要
- 使用データ容量無制限
- 契約後即時使用可能
- 速度は不安定
- 契約住所以外の利用は厳禁
ホームルーターの提供事業者
ホームルーターの程度会社は
・ソフトバンク(SoftBank Air)
・ドコモ(Home 5G)
・au(Speed WiFi Home 5G)
・楽天(楽天ターボ)
などがあります。
モバイルWiFi
屋外でも使用できるポケットティッシュサイズの持ち運びWiFiを、モバイルWiFiやモバイルルーターといいます。
ホームルーターでは使えなかった車内や、屋外で無線ネットワークを利用することができます。
モバイルWiFIの特徴
モバイルWiFiはスマホと同じように基地局から受信した電波を使用しているため、場所によっては電波が不安定になってしまうことがあります。
また、バッテリー式のためモバイルWiFi自体も充電しておく必要があるので使用には注意が必要です。
一ヶ月に使用できるデータ容量は契約プランによっても異なりますが無制限ではないこともあり、無制限の場合でも直近の一定期間で多くの通信を行うと速度制限がかかることもあります。
一定期間に多くのデータ量(おおよそ10GB)の通信を行うと1日〜3日ほどの通信制限がかかる仕組み。
このように品質面においては他のネット回線と比べると全体的に劣りますが、工事不要かつ契約したその日から利用できる手軽さや、屋外で利用できることを重視する方にはおすすめされます。
- 工事が必要ない
- 小型で外に持ち運びができる
- スマホとのセット割がある
- 料金体系がシンプル
- プロバイダ契約は不要
- 契約直後すぐ利用可能
- データが無制限でないプランもある
- バッテリーを気にする必要がある
モバイルWi-Fiの提供事業者
モバイルネット回線を提供している会社は
- ワイモバイル
- UQモバイル
などが挙げられます
ADSL回線(提供終了)
かつては主流であった電話回線を利用して接続するインターネットサービスですが、光信号と比べると通信速度は大きく劣るため徐々に利用者を減らしていきました。
また電話回線のデジタル化にもともない2024年3月に、一部地域以外でのサービス提供が終了となりました。
(残りの地域に関しては2025年1月末にサービス完全終了)
- 電話回線を利用するので大掛かりな工事が必要ない